クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「いえ……。その、デーセオ様と一緒になれて、幸せだなと、そう感じておりました。ですから、この幸せのためにも、私ができることは精一杯やらせていただきます」

「レーニス」
 デーセオはつかつかと妻に近寄ると、ぐっと力強く抱きしめる。

「ああ。俺たちの幸せのためにも、サライトにこの国の侵略を許すようなことはしない」
 レーニスもそっと夫の背に手を回した時、扉を叩く音がした。
 くそっ、と小さくデーセオが呟いたことは聞かなかったことにしよう。

「デーセオの自慢の奥方に会いにきた」
 扉の向こう側に楽しそうに笑いながら立っていたのは、もちろんこのクレイデル王国の国王である。
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