クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
☆☆☆

 クレイデル王国の王城に、隣国のサライト王国の使者たちがやってきた。理由は、不可侵条約と友好条約を結ぶこと。

 サライト王国は、幾度となくクレイデル王国の聖女の力で度重なる不作を助けて欲しいと書簡を送っていたらしい。だが、それをもみ消していたの外交を主に担当する大臣だった。聖女の聖なる力はクレイデル王国のものである、と断りを入れていたらしい。この大臣が神殿と繋がっており、聖女の祈りを金儲けのためにと利用していたようだ。

 あのとき、民衆たちが神殿の入り口に集まった時、現れた男はもちろんティメル。彼は、民たちを神殿で受け入れるように要求した。魔術師がそう言うのであれば、と聖女や聖女候補たちは戸惑いながらも民たちを受け入れた。
 受け入れた民たちの中に、怪我をした者がいた。こちらに逃げるときに派手に転んでしまったのだろう。それに気付いた聖女候補の一人がその民に治癒を施せば、民は聖女候補に涙を流しながら礼を伝えたらしい。そのとき、その民の行動が聖女候補の心を砕いた。

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