クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 今、クレイデル王国とサライト王国の間に条約が結ばれる。その行方を見守っている人々の中に、デーセオとレーニスの姿もあった。
 神殿の代表としてこの場にいるのは、ティメルだった。今までの神殿の組織は解体された。特に、大臣と繋がっていた神官たちはもちろん辞めさせられた。その辞めさせられた神官の一人が神殿の代表であるならば、新しい代表を立てなければならない。

『知っているか、ティメル。世の中には言い出しっぺの法則というものがあるらしい』
 そんなことを言い出したのは、もちろんティメルの元上司であるデーセオだ。そして彼はティメルに一冊の古そうな本を差し出した。それにこの本、クレイデル王国の本ではないように見える。
『この本に言い出しっぺの法則について書いてある。優秀なお前なら読んで理解できるよな』
 つまり、神殿の悪事を暴いた張本人なのだから、責任を持って代表を務めろということを言いたいらしい。

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