クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 つまりデーセオの父の父似ということは、祖父似ということか。
「デーセオ様。つまり、先代というのは」

「ああ、俺の祖父だ。父は商売の方に才があったようでな。ここを継がないと言ったそうなんだ。だから、祖父の跡を俺が継いだ」

 だからか。レーニスが先代の話をと口にしたときに霊廟をと言われたのは。つまりデーセオにとって先代とは彼の祖父のことを指すのだ。

「もう。そんなことはどうでもいいから、さっさと彼女を紹介しなさい」
 どうやら母親の方はそろそろ痺れを切らしそうだった。紹介されないことにはレーニスとの会話を楽しむことができないとでも思っているのか。

「こちらが、妻のレーニスだ」

「お初にお目にかかります。レーニスです。このような恰好で申し訳ありません」

「まあまあ、レーニス。そのようなことは気にしなくてもいいのよ」
 母親は立ち上がると、レーニスの前に立つ。
「どうか、息子のことを頼みます」
 がしっと両手を握られた。
「はい」
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