クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 レーニスは義母の熱い気持ちにそう返事をすることしかできなかった。

「母上。離れてください。もう、彼女を紹介したからいいですね」

「いいってどういう意味かな? せっかく息子夫婦と会うことができたんだ。少しくらい、私たちに付き合ってくれでもいいのではないか?」
 父がグラスを掲げている。つまり、付き合うというのは酒に、という意味か。

「俺たちは今、王都から戻ってきたばかりです」

「ああ。知っている。サライトとの条約の調印式に立ち会ってきたのだろ? これで私たちの商売もやりやすくなったということだ」
 父親は楽しそうにグラスを傾けている。

「それに、私はあなたたちの馴れ初めを聞きたいわ」
 母親はレーニスの顔を覗き込んでいる。

「母上。着替えてまいりますので、もう少しお待ちいただけないですかね」

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