クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
 母親から妻を守るかのように、デーセオはレーニスの肩を抱き寄せた。

「まあ、あのデーセオが。仲睦まじいようで嬉しいわ。もう、年のせいか、最近、涙脆くて」
 なぜか母親が目頭を押さえていた。
 ここに優秀な部下であったティメルがいたのであれば、恐らくこの母親の気持ちに寄り添ってくれていただろう。だが、残念なことに彼はもう、ここにはいない。

 その日は、デーセオの両親とも交えての夕食となった。母親は二人の馴れ初めについて根掘り葉掘り聞こうとしていたようなのだが、そこはレーニスがうまく話をまとめてくれていた。
 彼の両親は二十日程そこに滞在していた。その間、霊廟へと足を運ぶ。デーセオの祖父母が眠る場所。歴代の城主たちが静かに眠る場所。そこで静かに四人で祈りを捧げる。

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