クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
☆☆☆

「もう、行ってしまわれるのですか?」

「次の商談があるからね」
 レーニスが寂しそうに言えば、父からはそう戻ってきた。

「次はいつ頃こちらに来られますか?」

「なんだろう。こうやって次の予定を聞かれるというものは、嬉しいことだな。なあ?」

「ええ、そうね。デーセオは私たちがいようがいまいが、感情を口にするようなタイプの子ではなかったから」
 この両親の会話をずっと聞いていれば、昔の夫がどのような人物だったのかということもわかるし、そしてこの両親が自分たちの息子に愛情を注いでいるということもわかるような気がしていた。離れていても心が繋がっているような、そんな感じがするのだ。

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