クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
書籍化御礼SS
近頃、妻であるレーニスの口癖は「よいしょ」である。それに気づいたのはもちろんデーセオ。
寝台から下りるときも「よいしょ」。食事を終え椅子から立ち上がるときも「よいしょ」。何かしら次の行動にうつそうとすると、レーニスの愛らしい唇からこぼれる言葉が「よいしょ」。
(なぜだろう)
近しい人の口癖がうつるということも耳にしたこともある。
(いや、もしかして俺も気づかないうちにそう言っているのか)
最近、デーセオ自身が年齢を感じていることに否定はできない。
寝台の上で枕をクッションが代わりにして寄りかかり足を投げ出して本を読んでいるレーニスにデーセオはそっと視線を向けた。
初めて出会ったときと変わらぬ美しさが、今も彼女の体から滲み出ている。
「どうかされましたか?」
デーセオがじぃっと見つめていたことに気づいたのか、レーニスは読んでいた本から顔を上げた。
「いや、その大きくなったな、と」
彼女の顔に見惚れていたことを悟られないようにと、話題を彼女の腹部に変えた。
「そうですね。産み月に入りましたから」
「触れてもいいか?」
デーセオが尋ねるとレーニスは、はにかみながらうなずく。恐る恐るデーセオが手を伸ばすと、彼女はその手を掴み腹部に添えた。
寝台から下りるときも「よいしょ」。食事を終え椅子から立ち上がるときも「よいしょ」。何かしら次の行動にうつそうとすると、レーニスの愛らしい唇からこぼれる言葉が「よいしょ」。
(なぜだろう)
近しい人の口癖がうつるということも耳にしたこともある。
(いや、もしかして俺も気づかないうちにそう言っているのか)
最近、デーセオ自身が年齢を感じていることに否定はできない。
寝台の上で枕をクッションが代わりにして寄りかかり足を投げ出して本を読んでいるレーニスにデーセオはそっと視線を向けた。
初めて出会ったときと変わらぬ美しさが、今も彼女の体から滲み出ている。
「どうかされましたか?」
デーセオがじぃっと見つめていたことに気づいたのか、レーニスは読んでいた本から顔を上げた。
「いや、その大きくなったな、と」
彼女の顔に見惚れていたことを悟られないようにと、話題を彼女の腹部に変えた。
「そうですね。産み月に入りましたから」
「触れてもいいか?」
デーセオが尋ねるとレーニスは、はにかみながらうなずく。恐る恐るデーセオが手を伸ばすと、彼女はその手を掴み腹部に添えた。