クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
手のひらから伝わる胎動。
「なんだ、動いているな」
「そうなんです。今日はずっとこんなふうに動いていて。だから、生まれるまではもう少し日があるかもしれません」
「どういうことだ?」
デーセオは、赤ん坊は生まれてくるまでずっと母親の腹の中で動き続けていると思っていた。
「サンドラから聞いたのですが、生まれる頃になると胎動が落ち着くそうなのです。赤ちゃんが下りてきて、すっぽりと骨盤にはまるからと言っていたような気がします」
「そうなのか」
明日にでも生まれてくるのではないかと思っていたデーセオの言葉は、どこか寂しそうにも聞こえる。
その心を読んだのか「待ち遠しいですね」とレーニスが声をかけてきた。
「そうだな。だが、赤ん坊が生まれてくる時期を決めるのは俺たちじゃないからな。生まれたいと思ったら生まれてくるんだろうな」
まるで自分自身に言い聞かせるかのように、デーセオを呟いた。
「ところで。今日は何の本を読んでいるんだ?」
レーニスは答えずに本の表紙をデーセオに見せてきた。本のタイトルは『初めての赤ちゃん』。つまり育児書である。
「なんだ、動いているな」
「そうなんです。今日はずっとこんなふうに動いていて。だから、生まれるまではもう少し日があるかもしれません」
「どういうことだ?」
デーセオは、赤ん坊は生まれてくるまでずっと母親の腹の中で動き続けていると思っていた。
「サンドラから聞いたのですが、生まれる頃になると胎動が落ち着くそうなのです。赤ちゃんが下りてきて、すっぽりと骨盤にはまるからと言っていたような気がします」
「そうなのか」
明日にでも生まれてくるのではないかと思っていたデーセオの言葉は、どこか寂しそうにも聞こえる。
その心を読んだのか「待ち遠しいですね」とレーニスが声をかけてきた。
「そうだな。だが、赤ん坊が生まれてくる時期を決めるのは俺たちじゃないからな。生まれたいと思ったら生まれてくるんだろうな」
まるで自分自身に言い聞かせるかのように、デーセオを呟いた。
「ところで。今日は何の本を読んでいるんだ?」
レーニスは答えずに本の表紙をデーセオに見せてきた。本のタイトルは『初めての赤ちゃん』。つまり育児書である。