クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「では、フルヘルト卿の話を進めて良いな」

「……はい」

 そうかそうか、とクエバは満足そうに笑った。もちろん、ロイスもルーカスも。
 五十を過ぎたパエーズ卿よりは、三十くらいのフルヘルト卿の方がまだマシだろうという気持ちがレーニスのどこかにあった。だが、未亡人からは遠ざかってしまうな、という思いも。

「さあさ、レーニス。食べなさい」
 ロイスがとろけるような笑みを浮かべて、食事を勧めてきた。ルーカスも、これは美味しいよと、言ってくる。
 ありがとうございます、とレーニスは小さく呟くと、最後の晩餐であるかのようにその食事を口に入れた。

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