クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
そう、彼女が神殿を去ってからまだたった十日。それにも関わらず、あのフォッセ家は彼女の嫁ぎ先というよりも売り先を次から次へと見定め、そして最終的にパエーズ卿と決めたようだ。そこに突如と割り込んだのがデーセオ、というよりもティメル。彼は、彼女が金でパエーズ卿に売られるということを突き止めた。その金額も金貨千枚。だったらこちらはその倍を出す、と言ったのだが、どうせなら五倍出せ、とデーセオが言ったため、金貨五千枚をフォッセ家に提示した。見事、フォッセ家はその餌に食いついたのだ。
だから、なんとかあのパエーズ卿からレーニスを奪うことができたのだが。
「デーセオ様。今回の件ですが。レーニス様を妻として迎えるという形で問題はありませんよね?」
「妻。妻だと?」
「ええ、妻です。それとも養子にされますか? その場合、彼女の嫁ぎ先は別に決める必要があると思いますが」
つま、つま……とデーセオは言葉を覚えたての鳥のように繰り返している。
だから、なんとかあのパエーズ卿からレーニスを奪うことができたのだが。
「デーセオ様。今回の件ですが。レーニス様を妻として迎えるという形で問題はありませんよね?」
「妻。妻だと?」
「ええ、妻です。それとも養子にされますか? その場合、彼女の嫁ぎ先は別に決める必要があると思いますが」
つま、つま……とデーセオは言葉を覚えたての鳥のように繰り返している。