クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「あ、はい」
 まさか、そのような言葉をかけてもらえるとは思っていなかったがレーニスは、少し驚いてしまった。それはどこかに、あのルーカスの下卑た声が心のどこかに引っかかっていたから。

「あの、旦那様」

「なんだ」

「ありがとうございます。その、私をお買い上げいただきまして」
 デーセオは思わず噴き出しそうになった。お買い上げ、そう表現されるとは思っていなかったからだ。金貨五千枚をあのフォッセ家に払ったのは事実であるが。
「旦那様にお買い上げいただかなければ、私は禿エロ親父に売り飛ばされるところでした」

 彼女の言う禿エロ親父があのパエーズ卿であることは、デーセオでさえ容易に想像がついた。
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