◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
「あの……一つ弁解しますが、い、一応襲われかけただけで、襲われては……いません」
「そ? ……とは思ったけど……なら安心したわ」
ラヴェルの名誉の為にも言っておこう。そして自分自身の貞節の為にも。
タラさんはあたしの肩を優しく抱いて、ゆっくり階上へと促した。
「あの、彼は何をしに、何処へ……?」
階段を昇りながら涙ぼくろの色っぽい隣の美女を見上げる。あれはツパイの薬とはまた違うのだろうか。
「あのコは浴室へ行ったの。髪を染めに」
「……へ?」
あれって染髪剤!? 確かに……戻ったリビングのシャワールームから水の流れる音が響いているけれど、わざわざ髪染めを何処まで取りに行かせたっていうのよ!?
「うちは代々染色家なのヨー、あ! 申し遅れたけど、ワタシはタランティーナ=ヴェル=ハイデンベルグ。長いからあのコと同じくタラって呼んでくれればイイわ」
「タランティーナ=ヴェル……──ヴェル?」
ミドルネームがラヴェルと同じ??
「ちなみにツパイはツパイ=ヴェル=ユングフラウ。……もう気付いたかしら?」
「……あっ!!」
ずっとずっと昔の微かな記憶が甦り、やがて欠けている何枚もの内の、一枚のパズルがやっと完成した。小さい頃、母さんが読んでくれた絵本に、そんな名前の王国があった──。
「そ? ……とは思ったけど……なら安心したわ」
ラヴェルの名誉の為にも言っておこう。そして自分自身の貞節の為にも。
タラさんはあたしの肩を優しく抱いて、ゆっくり階上へと促した。
「あの、彼は何をしに、何処へ……?」
階段を昇りながら涙ぼくろの色っぽい隣の美女を見上げる。あれはツパイの薬とはまた違うのだろうか。
「あのコは浴室へ行ったの。髪を染めに」
「……へ?」
あれって染髪剤!? 確かに……戻ったリビングのシャワールームから水の流れる音が響いているけれど、わざわざ髪染めを何処まで取りに行かせたっていうのよ!?
「うちは代々染色家なのヨー、あ! 申し遅れたけど、ワタシはタランティーナ=ヴェル=ハイデンベルグ。長いからあのコと同じくタラって呼んでくれればイイわ」
「タランティーナ=ヴェル……──ヴェル?」
ミドルネームがラヴェルと同じ??
「ちなみにツパイはツパイ=ヴェル=ユングフラウ。……もう気付いたかしら?」
「……あっ!!」
ずっとずっと昔の微かな記憶が甦り、やがて欠けている何枚もの内の、一枚のパズルがやっと完成した。小さい頃、母さんが読んでくれた絵本に、そんな名前の王国があった──。