◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
ウェスティの言った通り、日中食事をした天幕の隣には、大きなソファとその両端に可愛いランプが配されていた。腰掛けるややんわりと沈み、全身が包み込まれるような心地良さを抱いた。背もたれに寄り掛かった視線の先には、部屋から見た満月が見事に収まり、それは眩しいくらいの輝きを放っていた。
さて……彼は来るだろうか? 来たら……どう切り出そう?
暗唱した質問を、音のない世界でひたすら脳内に焼きつける。が、心の準備が出来ない内に、背後から気配と足音と、あの優しい声が近付いてきた。
「具合は良くなったのかな? ちょうど良い風と月明かりだね」
背中を流れる緊迫の衝撃。
「は、はい……結局あれから眠れなくて……えと、用意してくださってありがとうございます。とても座り心地の良いソファですね」
笑顔を何とか作り出し振り向いた時には、もうウェスティはすぐ後ろに居た。
「隣に良いかな、お姫様?」
「も、もちろんです」
そんなおどけた問い掛けに、ラヴェルの口調を思い出していた。もしかしたら……あいつのそういうところと愛称を付けたがるのは、小さい頃を共に過ごしたこの人の影響なんじゃないだろうか?
あたしの即答で並んで坐した彼の長い脚は、スラリと組まれ流された。
「……ユーシィ」
「は、はいっ」
って、そんなこと考えてる場合じゃなくて、会話の主導権を握らなきゃ!
さて……彼は来るだろうか? 来たら……どう切り出そう?
暗唱した質問を、音のない世界でひたすら脳内に焼きつける。が、心の準備が出来ない内に、背後から気配と足音と、あの優しい声が近付いてきた。
「具合は良くなったのかな? ちょうど良い風と月明かりだね」
背中を流れる緊迫の衝撃。
「は、はい……結局あれから眠れなくて……えと、用意してくださってありがとうございます。とても座り心地の良いソファですね」
笑顔を何とか作り出し振り向いた時には、もうウェスティはすぐ後ろに居た。
「隣に良いかな、お姫様?」
「も、もちろんです」
そんなおどけた問い掛けに、ラヴェルの口調を思い出していた。もしかしたら……あいつのそういうところと愛称を付けたがるのは、小さい頃を共に過ごしたこの人の影響なんじゃないだろうか?
あたしの即答で並んで坐した彼の長い脚は、スラリと組まれ流された。
「……ユーシィ」
「は、はいっ」
って、そんなこと考えてる場合じゃなくて、会話の主導権を握らなきゃ!