◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
黒いマントに包み込まれた、風になびく白いドレス。
嘘であれば良かったこと全ては……全て真実だった。
あたしのこの十年は何だったの? ウェスティへの憧れは? お礼を言う日を夢見て頑張ってきたことは? そして……あたしの目指す楽園は? ──もし受け入れていれば、それは地獄、だった。
瞳の表面に浮かんだ涙は頬を伝わずに、自分の真後ろへ飛ばされてゆく。
やがて満月に寄り添うように浮かんだ飛行船が見えた。無事だったんだ、飛行船も!
「これにてフルムーン遊覧飛行は終了デース! お疲れ様でしたー!!」
開かれたハッチへ淀みなく吸い寄せられるグライダー。格好良く飛び降りたタラさんの元気の良い一言と、あたしを優しく降り立たせたラヴェルの、少し遠慮がちな幽かな微笑み。
そして──。
「おかえり、ユーシィ」
目の前に差し出されたあいつの掌に、グッと口元を引き結んだ。
「……た、ただいま……ラっ──」
ごめん、またあたしはあんたの名前を聞かせてあげられない。
雪崩れ込んだラヴェルの胸の中で、返事は嗚咽に変わってしまったから──。
◆第五章◆選ぶべきは・・・どっち!? ──完──
嘘であれば良かったこと全ては……全て真実だった。
あたしのこの十年は何だったの? ウェスティへの憧れは? お礼を言う日を夢見て頑張ってきたことは? そして……あたしの目指す楽園は? ──もし受け入れていれば、それは地獄、だった。
瞳の表面に浮かんだ涙は頬を伝わずに、自分の真後ろへ飛ばされてゆく。
やがて満月に寄り添うように浮かんだ飛行船が見えた。無事だったんだ、飛行船も!
「これにてフルムーン遊覧飛行は終了デース! お疲れ様でしたー!!」
開かれたハッチへ淀みなく吸い寄せられるグライダー。格好良く飛び降りたタラさんの元気の良い一言と、あたしを優しく降り立たせたラヴェルの、少し遠慮がちな幽かな微笑み。
そして──。
「おかえり、ユーシィ」
目の前に差し出されたあいつの掌に、グッと口元を引き結んだ。
「……た、ただいま……ラっ──」
ごめん、またあたしはあんたの名前を聞かせてあげられない。
雪崩れ込んだラヴェルの胸の中で、返事は嗚咽に変わってしまったから──。
◆第五章◆選ぶべきは・・・どっち!? ──完──