◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
[49]決心
ドヨーン……。
そんな擬音が似合いそうな顔をして、あたしはテーブルに左頬を押し付けていた。
見える景色は遠くに船首の空──の手前ずっと近くに食べかけの朝食。進まないフォークに何の疑問をぶつけることもなく、ラヴェルはいつもの淡い微笑で「ちょっと用があるから、後で片付けてもらえる?」そう言って階下へ降りていってしまった。
別に普通にしていればいいのに……あたしのバカ。
起き抜けあいつは普段の調子で「おはよう、ユーシィ」って言ったんだ。あたしもそれにちゃんと「おはよう」って返せた。ツパイはいつも通り今日から三日は起きないし、タラは何故だか寝過ごしたので、あたし達はピータンとアイガーに食事を差し出し、二人きりの朝食を始めた。そうよ……今までと特に変わらない朝。なのにあたしの後頭部には、徐々に昨夜の一件が重く圧し掛かってきて……。
あ~あ、助けてもらったお礼を言う筈だったのに、何で責めたり叩いたりしたのよ!?
今までのあいつに戻ってほしかっただけなのに。もちろん、キスのおねだりはされなくていいのだけど。
「アラ~ユスリハちゃん、どうしたの? 朝から夫婦喧嘩でもした?」
背後からそんなとぼけた質問が投げ掛けられて、あたしはだるそうに首を反転させた。が、ふと言葉の意味を理解し、慌てて上半身を直立させた。
「お、おはようございますっ。って、誰が夫婦ですか! それに喧嘩なんてしてません!!」
眠気眼を擦りながら隣の席に着いたのは、今朝も透け透けネグリジェ下のセクシーなスタイルが眩しいタラだった。
「んじゃ、どうしちゃった? 昨夜あの子を叩いたことでも反省してた?」
「えっ!!」
ど、ど、ど、どうして知ってるの!?
驚き固まったあたしに、タラは頬杖を突いてニヤリと嗤った。
「ふっふん~タラねえに秘密なんて通用しないのヨ? でも反省なんてしなくてOK! むしろ良くやってくれたわっ、ユスリハちゃん」
「え……?」
タラは一度席を立ち、ラヴェルの荷物の入ったチェストを開いてみせた。
そんな擬音が似合いそうな顔をして、あたしはテーブルに左頬を押し付けていた。
見える景色は遠くに船首の空──の手前ずっと近くに食べかけの朝食。進まないフォークに何の疑問をぶつけることもなく、ラヴェルはいつもの淡い微笑で「ちょっと用があるから、後で片付けてもらえる?」そう言って階下へ降りていってしまった。
別に普通にしていればいいのに……あたしのバカ。
起き抜けあいつは普段の調子で「おはよう、ユーシィ」って言ったんだ。あたしもそれにちゃんと「おはよう」って返せた。ツパイはいつも通り今日から三日は起きないし、タラは何故だか寝過ごしたので、あたし達はピータンとアイガーに食事を差し出し、二人きりの朝食を始めた。そうよ……今までと特に変わらない朝。なのにあたしの後頭部には、徐々に昨夜の一件が重く圧し掛かってきて……。
あ~あ、助けてもらったお礼を言う筈だったのに、何で責めたり叩いたりしたのよ!?
今までのあいつに戻ってほしかっただけなのに。もちろん、キスのおねだりはされなくていいのだけど。
「アラ~ユスリハちゃん、どうしたの? 朝から夫婦喧嘩でもした?」
背後からそんなとぼけた質問が投げ掛けられて、あたしはだるそうに首を反転させた。が、ふと言葉の意味を理解し、慌てて上半身を直立させた。
「お、おはようございますっ。って、誰が夫婦ですか! それに喧嘩なんてしてません!!」
眠気眼を擦りながら隣の席に着いたのは、今朝も透け透けネグリジェ下のセクシーなスタイルが眩しいタラだった。
「んじゃ、どうしちゃった? 昨夜あの子を叩いたことでも反省してた?」
「えっ!!」
ど、ど、ど、どうして知ってるの!?
驚き固まったあたしに、タラは頬杖を突いてニヤリと嗤った。
「ふっふん~タラねえに秘密なんて通用しないのヨ? でも反省なんてしなくてOK! むしろ良くやってくれたわっ、ユスリハちゃん」
「え……?」
タラは一度席を立ち、ラヴェルの荷物の入ったチェストを開いてみせた。