◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
[55]信念 *
それから屋根色をした鮮やかな夕焼けを堪能し、待ちくたびれているに違いないタラの許へと戻った。テーブルには片手で足りない程のスパークリングワインの小瓶に、山積みの牡蠣とムール貝の殻。それでも全く変わらない顔色と口調と足取りは本当に脱帽の域だ。
独りでこんな美女がお酒を傾けているとなれば、パートナーの居ない旅人にとって声を掛けずにはいられないのだろう。お陰でタラは退屈することなく、更に美味しいレストランの情報まで手に入れてくれていた。
「あ、ココみたいヨ。なかなかイイ雰囲気じゃない」
流れる亜麻色の髪に誘われ辿り着いたのは、荘厳な教会や博物館に囲まれた、中庭のようなオープンテラスだった。
やはり評判がお客を呼び寄せるのだろう、空席を見つけるのには難儀したが、折良く目の前の三人組が席を立ち、ウェイターがすかさず食べ残しの皿を下げてくれた。
まもなく運ばれてきた白ワインと、ラヴェルとあたしの分の生牡蠣、白身魚のカルパッチョに、茹でた赤海老、小さな烏賊のフライ……沢山の海鮮がテーブルを埋め尽くし、サイドに置かれた蝋燭の炎が、それらを美味しそうに照らしていた。
教会へ登る入口の階段には、ドレープの美しいドレスを着た女性奏者が、神聖さを醸し出すハープの音色を奏でている。ひとまず最終目的地に到着した無事を乾杯し、タラの誘われた人数とその様子を聞かされながら、楽しい夕餉は始まった。
初めはそんな賑やかな会話に加わっていた筈のあたしは、いつの間にか脳ミソをフル回転させて、自分に出来る先々を考えていた。そして二つの結論に到る──そうだ、そうだ! そうしよう!!
独りでこんな美女がお酒を傾けているとなれば、パートナーの居ない旅人にとって声を掛けずにはいられないのだろう。お陰でタラは退屈することなく、更に美味しいレストランの情報まで手に入れてくれていた。
「あ、ココみたいヨ。なかなかイイ雰囲気じゃない」
流れる亜麻色の髪に誘われ辿り着いたのは、荘厳な教会や博物館に囲まれた、中庭のようなオープンテラスだった。
やはり評判がお客を呼び寄せるのだろう、空席を見つけるのには難儀したが、折良く目の前の三人組が席を立ち、ウェイターがすかさず食べ残しの皿を下げてくれた。
まもなく運ばれてきた白ワインと、ラヴェルとあたしの分の生牡蠣、白身魚のカルパッチョに、茹でた赤海老、小さな烏賊のフライ……沢山の海鮮がテーブルを埋め尽くし、サイドに置かれた蝋燭の炎が、それらを美味しそうに照らしていた。
教会へ登る入口の階段には、ドレープの美しいドレスを着た女性奏者が、神聖さを醸し出すハープの音色を奏でている。ひとまず最終目的地に到着した無事を乾杯し、タラの誘われた人数とその様子を聞かされながら、楽しい夕餉は始まった。
初めはそんな賑やかな会話に加わっていた筈のあたしは、いつの間にか脳ミソをフル回転させて、自分に出来る先々を考えていた。そして二つの結論に到る──そうだ、そうだ! そうしよう!!