◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
さて……でも、どうやって二人を中断させよう?
窓を開くことさえ気の引ける張り詰めた空気に、つい呆然と立ち尽くしてしまう。手にしているのは真剣なのだ。やたらに声を掛けて怪我でもされたら大変だし……うーん……?
「まだまだイケるんじゃないの~! ラウル!!」
その時今まで一言もなかった闘いに、タラの挑発的な言葉が響いた。これってもしかしてチャンスかも!?
「あ、あのっ、タラ……!」
「ん?」
急ぎ窓を開けて呼び掛ける──が!
「おおっとぉ……」
タラはあたしに苦笑いを向けながら、目の前に降ってきたラヴェルのソードを、レイピアの鍔で寸前受け止めていた。
「タラ。幾ら相手が自分だからって油断し過ぎだ」
ラヴェルは冷静な表情と口調のまま、芝生に投げてあった鞘を取りに行き稽古を終えた。
「違うわヨォ~だって美味しい匂いがしてきたんだもの、ネェ、ユスリハちゃん!」
「す、すみません……朝食の支度が出来たって、ずっと視線を送っていたんですけど、なかなか気付いてもらえなくてつい……」
あたしは身をすくめて謝った。ヘタをすればタラの綺麗な顔に傷が付くどころか、大怪我や死ぬことだって有り得るのだ。
「ごめん、ユーシィ。自分が悪いんだ。それに気付ける程の余裕が自分にはなかった」
「え……」
リビングに上がろうと目の前を通り過ぎる薄紫色の影が、バツの悪そうに謝罪をした。部屋へ促すようにそっとあたしの頭を撫で、洗面所に向かって消えてゆく。少し悔しそうだったその言葉に何も返せず、立ち止まってしまったあたしの肩を、後ろからタラが優しく抱き留めた。
窓を開くことさえ気の引ける張り詰めた空気に、つい呆然と立ち尽くしてしまう。手にしているのは真剣なのだ。やたらに声を掛けて怪我でもされたら大変だし……うーん……?
「まだまだイケるんじゃないの~! ラウル!!」
その時今まで一言もなかった闘いに、タラの挑発的な言葉が響いた。これってもしかしてチャンスかも!?
「あ、あのっ、タラ……!」
「ん?」
急ぎ窓を開けて呼び掛ける──が!
「おおっとぉ……」
タラはあたしに苦笑いを向けながら、目の前に降ってきたラヴェルのソードを、レイピアの鍔で寸前受け止めていた。
「タラ。幾ら相手が自分だからって油断し過ぎだ」
ラヴェルは冷静な表情と口調のまま、芝生に投げてあった鞘を取りに行き稽古を終えた。
「違うわヨォ~だって美味しい匂いがしてきたんだもの、ネェ、ユスリハちゃん!」
「す、すみません……朝食の支度が出来たって、ずっと視線を送っていたんですけど、なかなか気付いてもらえなくてつい……」
あたしは身をすくめて謝った。ヘタをすればタラの綺麗な顔に傷が付くどころか、大怪我や死ぬことだって有り得るのだ。
「ごめん、ユーシィ。自分が悪いんだ。それに気付ける程の余裕が自分にはなかった」
「え……」
リビングに上がろうと目の前を通り過ぎる薄紫色の影が、バツの悪そうに謝罪をした。部屋へ促すようにそっとあたしの頭を撫で、洗面所に向かって消えてゆく。少し悔しそうだったその言葉に何も返せず、立ち止まってしまったあたしの肩を、後ろからタラが優しく抱き留めた。