◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
「お嬢ちゃん、観光客かい?」
そんな想いに耽り突っ立っているあたしに、目の前から声が掛けられた。背の低い気の良さそうな笑顔のおじさん。大きな籠を背負って、その中には……ラヴェンダーの花束が沢山積まれていた。
「あ、いえ。旅をしてはいるのですが、用がありましてこの街に」
それでも明らかに視線はおじさんの背中に向かっていて、やっぱりお上りさんに見えたに違いない。
「ラヴェンダー、お好きなのかい?」
その興味津々な瞳に気付き、おじさんは「よっこらしょ」と一声、あたしの前に籠を降ろし中身を見せてくれた。
「わぁ~これだけ集まるとさすがに薫り高いですね! 母が昔これで香水を作っていたんです。すっかり忘れていたけど……思い出しました!」
そうだ……確かにこの鼻をくすぐる芳香、母さんは香水を作りながら、部屋中に焚き込めて、あたしをこの色と香りで包み込んだ!!
「ラヴェンダーに良い想い出がありそうだね」
ふふふと笑い、見上げる優しい眼差し。ハッとしたあたしは声にならないまま口を開けていた。そうよ……良い想い出。『ずっと優しいママ』だったお義母さんとの間に、ミルモにだって良い想い出がある筈!
そんな想いに耽り突っ立っているあたしに、目の前から声が掛けられた。背の低い気の良さそうな笑顔のおじさん。大きな籠を背負って、その中には……ラヴェンダーの花束が沢山積まれていた。
「あ、いえ。旅をしてはいるのですが、用がありましてこの街に」
それでも明らかに視線はおじさんの背中に向かっていて、やっぱりお上りさんに見えたに違いない。
「ラヴェンダー、お好きなのかい?」
その興味津々な瞳に気付き、おじさんは「よっこらしょ」と一声、あたしの前に籠を降ろし中身を見せてくれた。
「わぁ~これだけ集まるとさすがに薫り高いですね! 母が昔これで香水を作っていたんです。すっかり忘れていたけど……思い出しました!」
そうだ……確かにこの鼻をくすぐる芳香、母さんは香水を作りながら、部屋中に焚き込めて、あたしをこの色と香りで包み込んだ!!
「ラヴェンダーに良い想い出がありそうだね」
ふふふと笑い、見上げる優しい眼差し。ハッとしたあたしは声にならないまま口を開けていた。そうよ……良い想い出。『ずっと優しいママ』だったお義母さんとの間に、ミルモにだって良い想い出がある筈!