◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
「ミルモ……お願い、あたしの話を聞いてほしいの。あたし……少なからずあなたのお父さんとお義母さんが居なくなった理由を知っているわ。お義母さんがあなたを捨てて、お父さんと去ったのではないことを、ミルモにちゃんと分かってもらいたいの」
「ウソ……ウソばっかり! あんた、あの女の仲間だったの!? どうりでおんなじ匂いがすると思ったっ! ……あの女に頼まれたの? アタシをダマして、やっぱりどこかに売ろうとしてるの!?」
「ちがっ──」
「あんたなんか、自分のパパとママのところでぬくぬくしてればいいじゃないっ! アタシは誰も頼らない……! アタシは独りでもちゃんと生きていくんだからっ!!」
途端駆け出す小さな影。あたしは無意識にその後を追いかけていた。近付いた後ろ姿に最後のお願いを投げかけた。
「ミルモっ、聞いて! あたし、あの島の……ラヴェンダー畑で待ってるから! ずっと待ってるから!! お願いだから必ず来てね!!」
それでもミルモの駆け足は止まらなかった。
「アイガー、付いてあげてください」
ツパイはアイガーの背中を撫で、アイガーは一吠えミルモを追った。
「ごめん、ツパイ……やっぱりあたしじゃダメなのかな……」
とぼとぼともう一つの小さな影の許へ戻り、意気消沈とばかり頭を垂れる。
「ユスリハらしくないですね。まだ勝機はあると思いますよ。アイガーを信じて、僕達はラヴェンダー畑で待ちましょう」
「そ、だよね……」
あたしは薄く笑んで振り返った。ミルモとアイガーの消えた街角へ、瞳の焦点を合わせ息を吐いた──。
「ウソ……ウソばっかり! あんた、あの女の仲間だったの!? どうりでおんなじ匂いがすると思ったっ! ……あの女に頼まれたの? アタシをダマして、やっぱりどこかに売ろうとしてるの!?」
「ちがっ──」
「あんたなんか、自分のパパとママのところでぬくぬくしてればいいじゃないっ! アタシは誰も頼らない……! アタシは独りでもちゃんと生きていくんだからっ!!」
途端駆け出す小さな影。あたしは無意識にその後を追いかけていた。近付いた後ろ姿に最後のお願いを投げかけた。
「ミルモっ、聞いて! あたし、あの島の……ラヴェンダー畑で待ってるから! ずっと待ってるから!! お願いだから必ず来てね!!」
それでもミルモの駆け足は止まらなかった。
「アイガー、付いてあげてください」
ツパイはアイガーの背中を撫で、アイガーは一吠えミルモを追った。
「ごめん、ツパイ……やっぱりあたしじゃダメなのかな……」
とぼとぼともう一つの小さな影の許へ戻り、意気消沈とばかり頭を垂れる。
「ユスリハらしくないですね。まだ勝機はあると思いますよ。アイガーを信じて、僕達はラヴェンダー畑で待ちましょう」
「そ、だよね……」
あたしは薄く笑んで振り返った。ミルモとアイガーの消えた街角へ、瞳の焦点を合わせ息を吐いた──。