◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
[66]宝箱 *
それからあたし達は互いの涙を拭いて、おじさんに全てを打ち明け、全員で花摘みの唄を歌いながら沢山のラヴェンダーを摘み採った。
途中上空の強い風が厚い雲を吹き寄せて、ちょうど太陽が顔を出すように丸い空を顕わにしてくれた。其処から注がれた光のカーテンは、まるで真白いオーロラのようだった。
「お姉ちゃん、ママの仕事場へ行こ」
おじさんにお代を払ったのは、片手では少し持て余す程の花束を二つ分だけ。それも「初回サービスだよ」と相場の半額にしてくれた。あたし達は深くお辞儀をしてにこやかに手を振り、反対の手はお互いの手を握って弾む足取りで山を降りた。
ミルモの自宅はお義母さんの両親が手入れをしてくれているらしく、空き家でありながらも小綺麗に片付けられていた。香水作りの作業場も、ミルモが言ったようなラヴェンダーの散乱は既になく、西からの暖かな光が整然とした様子を照らし出している。
「これだけあれば沢山作れるわね」
あたしはおじさんが用意してくれた麻袋から、ラヴェンダーの枝を取り出して、ミルモが難儀そうに抱えてきた平たいザルの上に乗せた。もう花房がかなり落ちていて、袋を逆さにすると、むせぶ程の強い香気が紫色の粒と共に辺りを煙らせた。
途中上空の強い風が厚い雲を吹き寄せて、ちょうど太陽が顔を出すように丸い空を顕わにしてくれた。其処から注がれた光のカーテンは、まるで真白いオーロラのようだった。
「お姉ちゃん、ママの仕事場へ行こ」
おじさんにお代を払ったのは、片手では少し持て余す程の花束を二つ分だけ。それも「初回サービスだよ」と相場の半額にしてくれた。あたし達は深くお辞儀をしてにこやかに手を振り、反対の手はお互いの手を握って弾む足取りで山を降りた。
ミルモの自宅はお義母さんの両親が手入れをしてくれているらしく、空き家でありながらも小綺麗に片付けられていた。香水作りの作業場も、ミルモが言ったようなラヴェンダーの散乱は既になく、西からの暖かな光が整然とした様子を照らし出している。
「これだけあれば沢山作れるわね」
あたしはおじさんが用意してくれた麻袋から、ラヴェンダーの枝を取り出して、ミルモが難儀そうに抱えてきた平たいザルの上に乗せた。もう花房がかなり落ちていて、袋を逆さにすると、むせぶ程の強い香気が紫色の粒と共に辺りを煙らせた。