◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
「ちょっ、何すんのよっ!!」
案の定ヒュウっと音がして、ピータンがあたしに襲い掛かってくる。なのにラヴェルの抱き留める腕とは逆の手が、それを見事にキャッチしていて……何よ~ピータンもご主人様には敵わないって訳!?
「んー、おやすみのキスでもしようかと思って」
「えぇっ!?」
余りの驚きに固まってしまう。やっぱりこいつは何処か頭のネジが緩んでいるに違いないっ!
「それって契約違反でしょ!? も、もう放してよっ!!」
「ほら、『なかったこと』に出来るから」
こいつ……まさかあの金貨も『なかったこと』にするつもりなんじゃないでしょうね??
「なーんて、ね。さすがに冗談だよ。驚かせてごめん。おやすみ、ユーシィ」
あたしを支えていた掌がスッと離れ、頭のてっぺんをふんわり撫ぜた。拗ね気味のピータンを肩に乗せ、ウィンク一つ、自分のカプセルに潜り込んでしまう。
「んなっ、なっ! なぁっっ!!」
あたしは憤慨して唸り声を上げたけれど、ラヴェルのカプセルの照明が消され、淡い闇のシンとした静寂の中、独り怒りに震える自分がバカらしくなった。それに──
強引な茶目っ気を押し出したラヴェルの瞳が、何処か寂しそうだったからだ……。
──一体何だって言うのよ、もう……。
少しやけ気味にガシガシとカプセルに入りながら、ふと思い出した。そうだ……今も僅かに見えた……あの不自然な違和感のある“揺るがないモノ”。あれは多分、ラヴェルの右眼から感じられていた──。
案の定ヒュウっと音がして、ピータンがあたしに襲い掛かってくる。なのにラヴェルの抱き留める腕とは逆の手が、それを見事にキャッチしていて……何よ~ピータンもご主人様には敵わないって訳!?
「んー、おやすみのキスでもしようかと思って」
「えぇっ!?」
余りの驚きに固まってしまう。やっぱりこいつは何処か頭のネジが緩んでいるに違いないっ!
「それって契約違反でしょ!? も、もう放してよっ!!」
「ほら、『なかったこと』に出来るから」
こいつ……まさかあの金貨も『なかったこと』にするつもりなんじゃないでしょうね??
「なーんて、ね。さすがに冗談だよ。驚かせてごめん。おやすみ、ユーシィ」
あたしを支えていた掌がスッと離れ、頭のてっぺんをふんわり撫ぜた。拗ね気味のピータンを肩に乗せ、ウィンク一つ、自分のカプセルに潜り込んでしまう。
「んなっ、なっ! なぁっっ!!」
あたしは憤慨して唸り声を上げたけれど、ラヴェルのカプセルの照明が消され、淡い闇のシンとした静寂の中、独り怒りに震える自分がバカらしくなった。それに──
強引な茶目っ気を押し出したラヴェルの瞳が、何処か寂しそうだったからだ……。
──一体何だって言うのよ、もう……。
少しやけ気味にガシガシとカプセルに入りながら、ふと思い出した。そうだ……今も僅かに見えた……あの不自然な違和感のある“揺るがないモノ”。あれは多分、ラヴェルの右眼から感じられていた──。