◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
「良いことを教えてやろうか? ユーシィ。私は君に拘ったつもりはない。ジュエルが求めたからこそ君を選んだがね。何故私がヴェルから逃げた民を先に狙ったのか、分かるかい? 国外で殺戮がなされれば、ヴェルに残る民はもはや脱出出来ないだろう? 私は網を張らずして、彼らを封じ込めたのだよ。ヴェルへ戻れば幾らでも花嫁を選ぶことは出来る……ふふ、分かったね? 君はもうタランティーナと同じ、用なしってことさ!」
「あ……ああ……」
この時ウェスティは今までで一番、残酷で残忍な悪魔の笑顔を描いた。殺される──心の底から感じられた恐怖が、あたしを芯から痺れさせた。
「ユーシィ! 惑わされるなっ」
ずっと立ち尽くし、沈黙していたラヴェルが急に叫んだ。ウェスティもあたしもハッとそちらへ目を逸らす。ウェスティへソードを突きつけたラヴェルの右眼はいつになく険しかった。
「何っ!?」
同時に隣から困惑の言葉が降り注がれた。ラヴェルからウェスティへと移したあたしの視界には、後ろから回り込んだのだろう、飛び掛かるピータンとアイガーに剣もナイフも手放した、背を丸める長身が映った。その肩先から胸元へ──ラヴェルのソードが真紅の軌跡を描いた!
「あ……ああ……」
この時ウェスティは今までで一番、残酷で残忍な悪魔の笑顔を描いた。殺される──心の底から感じられた恐怖が、あたしを芯から痺れさせた。
「ユーシィ! 惑わされるなっ」
ずっと立ち尽くし、沈黙していたラヴェルが急に叫んだ。ウェスティもあたしもハッとそちらへ目を逸らす。ウェスティへソードを突きつけたラヴェルの右眼はいつになく険しかった。
「何っ!?」
同時に隣から困惑の言葉が降り注がれた。ラヴェルからウェスティへと移したあたしの視界には、後ろから回り込んだのだろう、飛び掛かるピータンとアイガーに剣もナイフも手放した、背を丸める長身が映った。その肩先から胸元へ──ラヴェルのソードが真紅の軌跡を描いた!