◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
[73]吐露
「うっ……」
あたしは小さく呻き声を上げて、霞む視界に目を凝らした。次第に鮮明になる色は美しく淡い碧。ああ、見えるのは空、だ……漂う小さな花々の匂いが、仰向けに倒れていることを気付かせてくれた。
「魔法で眠らせたのは、失敗だったか……自分が弱まるにつれ、解けてしまうことまで考えなかった……」
「え?」
左隣から聞こえる嗄れた声に、疑問を投げ掛け首を反らせる。あたしの鼻先には同じように、大地を背にしたラヴェルの横顔があった。
「な、何!? ねっ、何をしたの!?」
「……」
途端半身を起こして寄ったあたしの影に、ラヴェルは瞳だけは向けたけれど、何も言葉にしようとはしなかった。
「答えて! あなた一体何をしたのよっ!!」
詰め寄り、服のサイドを掴んで催促しても、ラヴェルは身じろぎもせず、いつもの柔らかい微笑を湛えるだけだ。でも──
何かがおかしい……ラヴェルの身体が……ラヴェルが、消えてしまいそうな……嫌な予感が辺りを取り巻いている──。
あたしは小さく呻き声を上げて、霞む視界に目を凝らした。次第に鮮明になる色は美しく淡い碧。ああ、見えるのは空、だ……漂う小さな花々の匂いが、仰向けに倒れていることを気付かせてくれた。
「魔法で眠らせたのは、失敗だったか……自分が弱まるにつれ、解けてしまうことまで考えなかった……」
「え?」
左隣から聞こえる嗄れた声に、疑問を投げ掛け首を反らせる。あたしの鼻先には同じように、大地を背にしたラヴェルの横顔があった。
「な、何!? ねっ、何をしたの!?」
「……」
途端半身を起こして寄ったあたしの影に、ラヴェルは瞳だけは向けたけれど、何も言葉にしようとはしなかった。
「答えて! あなた一体何をしたのよっ!!」
詰め寄り、服のサイドを掴んで催促しても、ラヴェルは身じろぎもせず、いつもの柔らかい微笑を湛えるだけだ。でも──
何かがおかしい……ラヴェルの身体が……ラヴェルが、消えてしまいそうな……嫌な予感が辺りを取り巻いている──。