◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
[77]出立 *+〈Y&R〉
「だから僕に任せてくださいと言ったではないですか~、タラ」
「ゴメーン! ちょっと腕が鈍ったかしらネー」
「ツパイ! タラ! あ、アイガーも!」
あたしは慌てて窓を閉め、巻き上がる粉塵の中から現れた、二人と一匹の影に飛びついた! 二年近く経っても変わらない、美女と子供と白黒の牧羊犬!! あ、ううん、ツパイは随分背が伸びている。
「キャー! ユスリハちゃ~ん!! 元気だったー? あっ、髪色、ピンク・グレーに戻したのネ! イヤーン、ピータンも相変わらず~!!」
「ムギュゥ~!」
そしてこの豊満な胸の、窒息死必至な挨拶も相変わらずだ……。
「くっ、くるしっ! で、でも一体どうして急に?」
タラの抱擁から顔を救出し、あたしは喜びで弾む質問を投げ掛けた。
「ウフーン、実はネー! ……と、その前に」
「え?」
もったいぶった様子で解き放したタラは、あたしに格好の良いウインクを飛ばし、
「アレ……お先に直してもらえるかしら?」
煙のおさまった背後を指差して、真っ赤な舌をペロッと出した。
無残な姿で地面に横たわる飛行船──。
「ああ……はい。よ、喜んで……」
後ろ髪を掻きながら笑うタラの後ろで、ツパイがゴメンと合掌していた──。
★ ★ ★
「ゴメーン! ちょっと腕が鈍ったかしらネー」
「ツパイ! タラ! あ、アイガーも!」
あたしは慌てて窓を閉め、巻き上がる粉塵の中から現れた、二人と一匹の影に飛びついた! 二年近く経っても変わらない、美女と子供と白黒の牧羊犬!! あ、ううん、ツパイは随分背が伸びている。
「キャー! ユスリハちゃ~ん!! 元気だったー? あっ、髪色、ピンク・グレーに戻したのネ! イヤーン、ピータンも相変わらず~!!」
「ムギュゥ~!」
そしてこの豊満な胸の、窒息死必至な挨拶も相変わらずだ……。
「くっ、くるしっ! で、でも一体どうして急に?」
タラの抱擁から顔を救出し、あたしは喜びで弾む質問を投げ掛けた。
「ウフーン、実はネー! ……と、その前に」
「え?」
もったいぶった様子で解き放したタラは、あたしに格好の良いウインクを飛ばし、
「アレ……お先に直してもらえるかしら?」
煙のおさまった背後を指差して、真っ赤な舌をペロッと出した。
無残な姿で地面に横たわる飛行船──。
「ああ……はい。よ、喜んで……」
後ろ髪を掻きながら笑うタラの後ろで、ツパイがゴメンと合掌していた──。
★ ★ ★