◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
「随分威勢が良いね、ティーナ。でも買い被りかも知れないよ? 実際正統な継承者となろう『ウル』が生まれたんだ。君はウルが継ぐべきだと思わないの?」
黒い制服のデコルテを彩る、亜麻色の巻き毛を指に巻き取り弄ぶ。そんな彼のすがるような弱々しい眼差しに、少女は今まで見せたことのないウェスティの一面に気付かされた。きっと彼も不安なのだ……此処から一度とて出たことのない自分が、世の中へ飛び立つその時が──。
「ラウルがどれだけアナタを慕っているのか知っているでショ? あの子もとても聡明だけど、アナタの賢明さにはまだまだヨ。まぁこれまでの『伝統』を変えずに、現宿主が人生を全うした後の継承であるなら、あの子もアナタに追いつくかも知れないけれど。でもあの子が一番、アナタの継承を望んでいるじゃないの」
「ウルも私も厄介な星の下に生まれたものだね……こんな目と髪を持たなければ、きっと自由に生きられたのに」
「スティ……?」
少々投げやりに吐き出された台詞と溜息、それらをなかったことにしたいように、ウェスティはタランティーナの首筋に顔を埋めた。高くシャープな鼻先を軽く撫でつけ、スゥっと息を吸う。
黒い制服のデコルテを彩る、亜麻色の巻き毛を指に巻き取り弄ぶ。そんな彼のすがるような弱々しい眼差しに、少女は今まで見せたことのないウェスティの一面に気付かされた。きっと彼も不安なのだ……此処から一度とて出たことのない自分が、世の中へ飛び立つその時が──。
「ラウルがどれだけアナタを慕っているのか知っているでショ? あの子もとても聡明だけど、アナタの賢明さにはまだまだヨ。まぁこれまでの『伝統』を変えずに、現宿主が人生を全うした後の継承であるなら、あの子もアナタに追いつくかも知れないけれど。でもあの子が一番、アナタの継承を望んでいるじゃないの」
「ウルも私も厄介な星の下に生まれたものだね……こんな目と髪を持たなければ、きっと自由に生きられたのに」
「スティ……?」
少々投げやりに吐き出された台詞と溜息、それらをなかったことにしたいように、ウェスティはタランティーナの首筋に顔を埋めた。高くシャープな鼻先を軽く撫でつけ、スゥっと息を吸う。