◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
 ──あの時、もしアナタがジュエルの力を持っていたら、ワタシへの最初のキスに、何かを願ったかしら?



 ジュエルの力を保つ者に、与えられた魅惑の魔法。

 初めての口づけはその相手に対し、一つだけ願いを込められる。

 この時のウェスティには、未だその力は宿されていなかった。が、もし彼がそれを手にしていたのなら──



 ──今はもう、そんな想像も無意味でしかない。



 この十日後、彼は王の宣言の(もと)、正式にヴェルの王位を継承した。

 だが、タランティーナを王妃に迎えるとの発表は、流されることなく時は過ぎた。

 あの惨劇が始まりを告げ、「タラ」は「ラヴェル」の生ける『盾』となったから。



 ──それはこのファースト・キスから、半月もしない暗い夜のことだった──。



◆ウェスティの真意は、続編にて語られる予定でございます。



◇制服ではないですが、この頃のティーナとスティを再び◇



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