◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
「君には四日に一度、此処に赴いて僕の話し相手になってもらいたい。ただ君にとっては貴重な時間であるだろうし、僕もそんなに暇じゃないからほんの小一時間で構わない。王宮まで来るのが面倒なら、部屋を用意するから住んでくれても良いよ。王家の設備も自由に使ったら良い。君への報酬は一度の面会につき金貨五枚。悪くはない話だと思うけど……どうかな?」
王は両肘をテーブルに突き、絡めた指の上からツパイの見えない瞳を探った。
対するツパイ自身にも断る理由は見つからなかった。とりわけ王家の設備──図書室の書籍や文献を読み漁れるのは魅力的な条件だ。が、ただ語らうだけに金貨を頂くのは腑に落ちなかった。それも五枚も……それ程の報酬を頂く『仕事』であるとは、否、それ自体が『仕事』としてなされることには抵抗があった。
「喜んでお受けしたいお話ではありますが、お茶のお相手ごときに謝礼を頂く訳には参りません。もしラウル様が宜しければ、住み込みにて図書室の種別管理などを仰せつけください。さすればわたくしがこの部屋に出入りすることも、誰からも怪しまれず咎められることもなく、貴方様が家臣の信用を失うこともないと思われます」
「……なるほど」
王は両肘をテーブルに突き、絡めた指の上からツパイの見えない瞳を探った。
対するツパイ自身にも断る理由は見つからなかった。とりわけ王家の設備──図書室の書籍や文献を読み漁れるのは魅力的な条件だ。が、ただ語らうだけに金貨を頂くのは腑に落ちなかった。それも五枚も……それ程の報酬を頂く『仕事』であるとは、否、それ自体が『仕事』としてなされることには抵抗があった。
「喜んでお受けしたいお話ではありますが、お茶のお相手ごときに謝礼を頂く訳には参りません。もしラウル様が宜しければ、住み込みにて図書室の種別管理などを仰せつけください。さすればわたくしがこの部屋に出入りすることも、誰からも怪しまれず咎められることもなく、貴方様が家臣の信用を失うこともないと思われます」
「……なるほど」