◆ラヴェンダー・ジュエルの瞳
「……ありがとうございます、『ラヴェル』」
王は手を翳しジュエルを瞼に戻した。途端投げ掛けられたお礼の言葉に、数秒キョトンとしてみせたが、すぐにその顔は満たされた笑みを刻んだ。
「さすが、呑み込みが早いね、『ツパ』」
「ツ、ツパ、ですか……?」
嬉しそうなラヴェルの首がコクンと大きく頷く。そしてその時、ツパイは少しだけ分かった気がした。
「やっぱり君で良いみたいだね」──ツパイがラヴェルのお眼鏡に叶った理由、それは──
──『自分』を受け入れてくれたから、だ。
自分の話に耳を傾け、その家族に言及し、我が身のことのように案じ、自分の希望に道筋を与えてくれた。
そんな当たり前のやり取りが、デリテリートでもアイフェンマイアでも殆どなされなかった特殊な日常に、光明を差し込むことが出来たのかも知れない、と。
「今日はちょっとだけ時間があるんだ。ツパ、紅茶のお代わりはどう?」
「それではお言葉に甘えさせていただきます。ですがラヴェル、今度は『僕』がお注ぎしますよ」
ツパイの敬語は変わらなかったが、もはやラヴェルを王とは扱わなかった。
この時をもって、彼女は彼の『友』となり、且つ『同志』となる。
けれどツパイがラヴェルの背を押し出す前に、再び凄惨な事件は起きてしまった。
そして──
柵から逃れられない縛り付けられた日々を、彼女は『今』も過ごしている──。
◆この文末の『今』がいつであるのかは、続編にて語られる予定です。
◇相変わらず瞳を見せないツパイも再び◇
王は手を翳しジュエルを瞼に戻した。途端投げ掛けられたお礼の言葉に、数秒キョトンとしてみせたが、すぐにその顔は満たされた笑みを刻んだ。
「さすが、呑み込みが早いね、『ツパ』」
「ツ、ツパ、ですか……?」
嬉しそうなラヴェルの首がコクンと大きく頷く。そしてその時、ツパイは少しだけ分かった気がした。
「やっぱり君で良いみたいだね」──ツパイがラヴェルのお眼鏡に叶った理由、それは──
──『自分』を受け入れてくれたから、だ。
自分の話に耳を傾け、その家族に言及し、我が身のことのように案じ、自分の希望に道筋を与えてくれた。
そんな当たり前のやり取りが、デリテリートでもアイフェンマイアでも殆どなされなかった特殊な日常に、光明を差し込むことが出来たのかも知れない、と。
「今日はちょっとだけ時間があるんだ。ツパ、紅茶のお代わりはどう?」
「それではお言葉に甘えさせていただきます。ですがラヴェル、今度は『僕』がお注ぎしますよ」
ツパイの敬語は変わらなかったが、もはやラヴェルを王とは扱わなかった。
この時をもって、彼女は彼の『友』となり、且つ『同志』となる。
けれどツパイがラヴェルの背を押し出す前に、再び凄惨な事件は起きてしまった。
そして──
柵から逃れられない縛り付けられた日々を、彼女は『今』も過ごしている──。
◆この文末の『今』がいつであるのかは、続編にて語られる予定です。
◇相変わらず瞳を見せないツパイも再び◇