棗くんからは逃げられない
Ⅰ
手当てしてあげただけです
「ううぅ……暗い…」
高校からのの帰り道、半ば泣きそうになりながら夜道を歩く
いつもはこんなに遅くならないんだけど、臨時でサッカー部のマネージャーしてたから…!
なんでこんなに遅いのに送ってくれないのよ……、と心の中で文句を垂れながら気を紛らわそうとする
「ぅ……」
「ひえっ!?」
うめき声が聞こえた気がして、悲鳴が漏れる
怖い怖い、暗いの怖い…!
「………ぁ…だ、だいじょ、ぶ、です…か?」
暗がりの中、人が倒れているのを見て、思わず声をかける
「っ…!」
恐る恐る近づくと、頬から血が流れていて目を見開く
「あ、あの」
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