棗くんからは逃げられない
「何流すんですか?」

「私の好きな曲です!」

画面をタップして棗くんに向ける


「………」

「知らない…?」


「そうですね、聞いたことないです」


「あんまり有名じゃないだろ」


「有名ですぅ!…」

「ほんとだ…いい曲ですね」

「分かりますか!?いい曲ですよねっ」


棗くんが分かってくれたのが嬉しくて満面の笑みを浮かべる

車に流れる透き通る歌声に目を瞑る


「あの、この二人って…」

画面を見ていた棗くんが呟いた
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