棗くんからは逃げられない
「なんですか?」

口の端を上げて首をかしげる伊織くん


「楽しい?」

私ばっかりはしゃいでいる気がする


「?なんでですか?」

「もしかして、伊織くんはあんまり来たくなかったのかなって…」

「ふっ、いいえ、すごーく楽しいです」

「ほんと?」

「ほんとですよ、
実乃梨先輩と一緒ならどこでも楽しいので」


顔を覗き込む私に伊織くんは何度も頷いた


「なら良かった…」

「実乃梨先輩は優しいですね」

「伊織くんの方が優しいよ」

さりげなく指を絡められる
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