棗くんからは逃げられない
「はは、すみません」


「帰りましょ?」と手を差し出される


一瞬、逡巡してからその手に自分のそれを重ねる

瞬間強く握られ、戸惑いながらも握り返す



「大丈夫ですよ、怒られないよう僕がきっちり説明します」

私の心を察したかのような言葉


肩を揺らして安心させてくれる伊織くん


「ぅんっ……
あのね…」

「なんですか?」


こそばゆいけど、急に伝えたくなった


「大好きです、伊織くん」

照れ笑いをしながら伝えると伊織くんが固まった



「すみません、やっぱりもう少し帰るの先延ばししてもいいですか?」

「ひ、ゃっ…伊織くんっ…!?」

押し倒されはのは、言うまでもない
< 224 / 241 >

この作品をシェア

pagetop