棗くんからは逃げられない
一生離さない
「むぅぅ……」
「実乃梨先輩?」
顔を覗き込む伊織くんから顔を背ける
「怒らないでくださいよ、ちゃんと断りましたよ」
「………っ…い、伊織くんがモテるのは知ってるんです」
「………?」
「でも…」
言葉を途切れさせ、俯く
「っ…何でもないっ────?」
「ヤバい、僕が悪いはずなのに今嬉しくてニヤける…」
顔を上げた私の腕をひいた伊織くん
いつものことながら反応できずにその腕の中に収まる
「ぁぅ…いおっ…」