棗くんからは逃げられない
「やば…兄ちゃんに見られた…」
隣に座り、頭を抱えた伊織くん
「恥ずかしかった…」
「うん…実乃梨先輩のあの顔、兄ちゃんに見られてないといいな…」
「??」
「すっごい色っぽい顔、してた
自分じゃ気づいてないと思いますけど」
「……!!」
「赤くなった…」
「っ…からかわないでください!」
「すみません」
落ち着いた声の伊織くん
なんか雰囲気が冷めているというか……
「おこ、ってる?」
「?いえ
ただ………」
顔を上げ、こちらを見やった伊織くん