棗くんからは逃げられない
「伊織くん」

伊織くんの背中に腕を回す


「なんですか?」

「………っ…こちらこそ、よろしくお願い、しま…す…」


恥ずかしくて顔を見ては絶対言えないセリフ


真っ赤である顔を隠すようにその胸に顔をうずめる


「っ……待って…それは反則…
……顔見て、もっかい言ってください」

「それは無理です」

焦ったような伊織くんの声が振ってくる


「なんでですか
言ってくださいよ」

「………はずか死ぬので、むり、です…」


なんとか引き剥がそうとする伊織くんに反抗して背中に回す腕に力を込める
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