棗くんからは逃げられない
「はぁ!?実乃梨、あんたばか?」
「………デスヨネ…」
次の日は土曜日だったから、月曜日になってから友達の琴羽(ことは)に話したら、怒られた
「知らない人に名前教えないなんて小学生でも知ってるよ?」
「………だって…」
「ヤンキーだったんでしょ?よくそんなことしたわね」
「痛そうだったから…」
「はぁ……全くお人好しね、お節介かしら…うーん」
「………でもね、」
腕を組み、斜め上を向く琴羽の瞳をのぞき込む
「優しかったよ?」
「はぁ?今、怖かったって……「“教えて”って、優しかった」」
「ぃてっ…」
「お人好し」
「えへ…」
デコピンを食らったおでこを押さえて、照れ笑いする