棗くんからは逃げられない
「朝からいい声出しますね」


「っ…やめてください、朝からびっくりします」

「すみません、実乃梨先輩の背中が見えたもので」


太陽が反射して“棗くん”のシルバーのピアスがひかる


「あれ?」

「どうかしましたか?実乃梨先輩にしてはせっきょくて…「違います」」


誤解を招く物言いに即座に反論して、近寄り“棗くん”の耳元を見上げる


「…減らしましたか?」

「っ…………参りました、やっぱり実乃梨先輩は最高です」

「……やめてください、」

「赤くなっちゃいましたか?可愛いですね」


俯き首を振ると、笑みがふってきた


「あの…」

「な…………」

返事をしようとしたはずなのに口を閉じてしまった
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