棗くんからは逃げられない
「っ…………ちか…っ…」

「実乃梨先輩?」


ニコニコと笑うその顔は、確信的

絶対、私の反応分かってた…!


「近づかないでくださいっ…」

「うぇ…ひど」

「ぁっ、そういう意味じゃなくてっ…えっと…」

「ふはっ…冗談です、実乃梨先輩ほんと可愛いですね」

「なぁ…ぅ……もぅ…」

からかわれたことに気づいた


棗くんはさっきからずーっとニコニコしている


「うぅ……もういいです、さようなら」

「待ってください、先輩」


悔しくてどこか恥ずかしくて背を向けて歩き出す

が、絶対すぐに追いつかれるのが分かってる



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