棗くんからは逃げられない
「なぁ、実乃梨」

赤信号で前方から目を離し、こっちを向いた


「彼氏じゃないのに、ああいうことするの?」


ああいう、?


「抱きしめられて」

「ぁぅ………」

「実乃梨は可愛いんだからもっと警戒心持て」

「かわいくなんてないもん」


信号が変わり、えいちゃんの鋭い視線は私から離れる


「…………」


えいちゃんに可愛いと言われるときと棗くんに言われるときのドキドキの具合が違くて

自分の胸に手を当て、考え込んでいた


ら、眠ってしまっていたらしい、えいちゃんにたたき起こされた
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