棗くんからは逃げられない
カランカラン、とおもがしたかと思ったら、なにかが転がってきた

それが微かな街灯の光を受けて反射


「あれ…これ…」

それを拾い上げて空にかざす


見覚えのあるそれは、多分…

「なつ、めくんの…」


「くっそ…」

「っ…」


耳に低くて威嚇するような届いた声

さっき拾った棗くんのピアス


それが導き出した結論が私の脚を動かしていた


「なつ、めく………っ!?」

「あ?………っ…みの、りせんぱい…」


顔だけ覗かせ、声を出し目を見開く


なん………
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