棗くんからは逃げられない
「兄ちゃん、よく実乃梨の話するんだ」

「っ…」

思わずお盆を持つ力がこもる


「可愛い先輩だ~ってユルと話してんの、俺知ってんだ」

「ぁぅ……」

「大丈夫か?実乃梨、顔真っ赤だ……ぞ…」

俯いた私に男の子が近づいてきた


が、すぐに離れた

「尊?風呂は?」


「にっ…にいちゃっん……」

それは、男の子の後ろから棗くんが頭を掴み、引き剥がしたからだった


「棗くんっ」

「全く先輩、僕なんて言いました?」


「実乃梨~助けて~、兄ちゃん怖いよ~」

なんてふざける尊?くんとじゃれながらこっちに目向けてきた
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