棗くんからは逃げられない
「それは反則です」

ぐい、と引き寄せられあっという間に棗くんの腕の中


「なつめくんっ…」

「実乃梨先輩、」

言葉を被せて名前を呼ばれる


「何で、そう言ってくれるんですか?」

「なんっで?」

「はい」


「っ…心配、だからです」

「僕がですか?」

「はいっ、棗くんに怪我して欲しくないですもん、私」

そう言うと、肩におもみが加わった


棗くんが頭を肩にぐりぐりと押しつけてくる

髪が首にかかってくすぐったい


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