地蔵くん、笑って、歌って、恋して!
誰も僕を責めなかった
でも逆にそれが僕には辛かった
気づけば、声が出せなくなっていた




誰もいないところに行きたくて
電車に乗って知らない街まで来て
夜、誰もいない海を見つけた



叫びたかったけど声が出ないから
ただただザワザワという波の音を聞いていた




そして、ある女の子が声を掛けてきた



「こんな夜にどうしたの?」



僕より身長が少し高くて
白いワンピースをきた女の子だった




声が出ないから返事も出来ないし
誰とも話したくなかった僕は無視した





すると女の子は隣に座って
歌い出した




〜♪〜♪〜♪〜


好きな人を思い浮かべてみて

その好きな人はあなたに笑ってる?

笑ってるなら大丈夫

その人もあなたの事が好きだから


〜♪〜♪〜♪〜




苦しかったのがスーッと消えていくように
涙がツーっと流れた




すると女の子は僕を抱きしめた




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