地蔵くん、笑って、歌って、恋して!
「私ね、歌うの好きなんだ」


僕も好きだよ
心の中で返事はしても
声に出せなくてもどかしかった



何も返事はしないのに
何も嫌な顔せずそばで話してくれた




帰る時彼女はこう言ったんだ




「またね」




また会いに来ても良いよって
言われてるみたいで嬉しかった





帰って声が出るようにリハビリした
頑張って頑張ってまた歌い始めた






だけどまだ自信はない





自分の親を殺したような僕と
誰が仲良くしたいと思うだろうか
誰が僕なんかと...
ずっとずっとそう思って生きてきた






だからずっと楽な方に逃げてきた
ずっと黙って地蔵みたいにしてきた






人と話すのは好きだったけど
それは小学生までの話




だから中学の3年間は楽しくなかった




ずっと下を向いて黙ってたから
いじめられもしたけど
仕方ないと思っていた




でも、変わったんだ




高校に入って凄い4人と友達になれたから






その4人は僕になんの躊躇も無く
手を差し伸べた



ある人は僕を優しいと言ってくれた
ある人は僕を面白いと言ってくれた
ある人は僕をかっこいいと言ってくれた
ある人は僕を可愛いと言ってくれた



僕もこの4人と仲良くなりたい




そう思ったんだ




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