地蔵くん、笑って、歌って、恋して!
千景『…あの?』
だいぶ黙ってたからか不安そうに
覗き込んできた
陽葵「あっ、ごめん!
じゃあ千景って呼ぶね!」
千景『じゃあ…陽葵さん…?』
え?ちょっと待って?
私、名前教えたっけ?
陽葵「名前何で知ってるの?」
クラスも違ってまだ入学して
そんなに時間も経ってないのに
千景『皆に囲まれて人気だなあって
思って見てたので…』
陽葵「えっ」
千景『えっ』
いや、だって声も出るよ
だって、だって、
あの地蔵くんなんて呼ばれてる
ずっと下向いてる千景の顔が見えたから
高い鼻に眼鏡の下の少しそっぽを向いた
大きくて色素の薄い目
長いまつ毛に綺麗な二重
毛穴ひとつない綺麗な肌
よく見たら細い髪がフワッとなってる
え、これってイケメンなのでは…?