偽装結婚の行く末
クルーズ船で開かれるパーティー。
パンピーには全く馴染みのない催し物だけど、昴の婚約者という肩書きのもと同行した。
新調したドレスは昴のお墨付き。
透け感があって上品な赤いレースのドレスを選んだ。
「ご夫人、お久しぶりです」
「……あ!待ってちゃんと思い出したわ。帽子の人ね」
隙を狙って夫人に話しかけるとちゃんと覚えてくれていた。
すごい、こんな一般人を覚えていてくれるなんてさすが一流企業の会長夫人。
「ちゃんとお礼が言いたかったの、会えて嬉しい」
あたしの手をギュッと握ってきた夫人の笑顔は温かい。
苦労してきたんだろうな、となんとなく伝わった。
「……なんとお呼びしたらよろしいかしら、お名前は?」
「申し遅れました。私、宮古インテリアに務めております、白井美優と申します」
「あら、宮古インテリア?あそこの家具好きなのよ」
「恐縮です」
「そちらは旦那さん?素敵な人ね」
「初めまして、奥村昴と申します。美優の婚約者です」
「奥村……どこかで聞いたことのあるお名前ね。もしかして会社を経営されてらっしゃる?」
昴に話を振ってくれていい流れだ。
しかも会社のことを向こうから聞いてくれた。
これはチャンスなのでは?
パンピーには全く馴染みのない催し物だけど、昴の婚約者という肩書きのもと同行した。
新調したドレスは昴のお墨付き。
透け感があって上品な赤いレースのドレスを選んだ。
「ご夫人、お久しぶりです」
「……あ!待ってちゃんと思い出したわ。帽子の人ね」
隙を狙って夫人に話しかけるとちゃんと覚えてくれていた。
すごい、こんな一般人を覚えていてくれるなんてさすが一流企業の会長夫人。
「ちゃんとお礼が言いたかったの、会えて嬉しい」
あたしの手をギュッと握ってきた夫人の笑顔は温かい。
苦労してきたんだろうな、となんとなく伝わった。
「……なんとお呼びしたらよろしいかしら、お名前は?」
「申し遅れました。私、宮古インテリアに務めております、白井美優と申します」
「あら、宮古インテリア?あそこの家具好きなのよ」
「恐縮です」
「そちらは旦那さん?素敵な人ね」
「初めまして、奥村昴と申します。美優の婚約者です」
「奥村……どこかで聞いたことのあるお名前ね。もしかして会社を経営されてらっしゃる?」
昴に話を振ってくれていい流れだ。
しかも会社のことを向こうから聞いてくれた。
これはチャンスなのでは?