偽装結婚の行く末
「声でけえよ、ここ住宅街だけど」

「ごめん間違えた」

「まあいいけど。あの息子、酔ったらなんでも話すらしいからいろいろ聞いてもらったんだよ、それだけの話」

「そんなところに情報源が……」

「待ってるだけじゃ仕事は舞い込んでこねえからな」


へえ、さすが起業しただけあってハングリー精神が人一倍ある。
目標があるってかっこいい。

でもなんだろう、このモヤモヤ。


「女は待ってるだけで来るのに?」


それを吐き出して急に酔いが覚めた。
やば、あたしだいぶ面倒なこと聞いてる。


「美優みたいな女はどんだけ待ちわびても見つからねえよ」


だけど昴は面倒くさそうな素振りひとつ見せずに、道端で堂々とキスをしてきた。
嬉しくて抱きついたら、急に顔を離される。
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