偽装結婚の行く末
「美優ちゃん、休憩どうぞ」

「ありがとうございます、(こころ)先輩」


13時、オフィスのロビー。先輩と交代で休憩に入った。
「いってらっしゃい」と綺麗な声で見送ってくれる心先輩は優しくて美人でまじで天使。

あたしのほかに3人いる受付嬢はみんな美人ぞろい。
会社の顔だし、容姿で選んでる部分もあるっぽい。

あたしはずば抜けて美人ってわけじゃないけど化粧すれば人並みかなと思ってる。


そんなことを考えながらオフィス内の休憩スペースに向かう。
スマホを見ながらひとりで食事をしていたら「あ、いたいた」って事務のおばさん2人組があたしの座ってる場所に来た。
嫌な予感する。いったいなんの用?


「白井さん、男は顔じゃないからね」

「え……」

「大丈夫よ、あなた美人なんだから引く手数多だから。あんなやつ見返してやりなさい」

「……はぁ」

「また何かあったらおばちゃんたちが愚痴聞くから」


てっきり昨日のことを根掘り葉掘り聞いてくると思ったのに、優しい言葉といっしょに両手いっぱいにお菓子をくれた。
……なんだ、いい人たちじゃん。
構えてたのに拍子抜けした。
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