偽装結婚の行く末
「冗談の質が悪い!」

「いって!」


腹が立って昴の二の腕をベチンと思いっきり叩いた。
昴は腕を押さえて半笑いであたしを見る。


「あー、しまった。美優の平手打ち強烈なの忘れてた」

「ふふん、忘れてもらっちゃ困ります」

「ドヤ顔やめろ」


昴は腕をさすりながらふと笑った。


「ジジババになっても俺らこんな感じかな」

「へえ、昴の中ではそこまで想像してんの?」


いつか昴に言われた通りにからかってみる。
あたしはこれを言われた時照れちゃったけど、昴は嬉しそうに笑った。


「当たり前だろ、美優とならどう転んでも大丈夫」

「何その変な自信」

「照れんなって」


結局あたしが照れちゃうわけね。
もう、結婚するって決まってからずっとこの調子で慣れない。
昴は愛情表現がまっすぐな男だからどうしても照れてしまう。
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